• Intel Arc ProにBattlemage世代のBシリーズ。写真はCOMPUTEX会場に出展されていたワークステーションで、1システムに今回の「Arc Pro B60」カードを4枚も搭載していた

    Intel Arc ProにBattlemage世代のBシリーズ。写真はCOMPUTEX会場に出展されていたワークステーションで、1システムに今回の「Arc Pro B60」カードを4枚も搭載していた

Intelは、COMPUTEX TAIPEI 2025の開幕をひかえる台湾・台北市で5月19日、記者向けイベントを開催し、AI・ワークステーション向けの新たなGPU「Arc Pro Bシリーズ」を発表した。ラインナップは「Arc Pro B60」の「Arc Pro B50」の2モデル。ともにBattlemage世代のプロ向けGPUで、上位のB60は24GBもの大容量VRAMを装備。AI推論などの用途で高い性能を発揮するという。

  • ラインナップは「Arc Pro B60」の「Arc Pro B50」の2モデル

Arc Pro B60/B50は、コンシューマ向けのArc Bシリーズと同様に、IntelのXe2アーキテクチャーをベースに開発されており、AIコア(XMXエンジン)と高度なレイトレーシング・ユニットを搭載。今回、負荷の高いAI推論ワークロードやワークステーション用アプリケーション向けに最適化を施している。スペックで最も目立つのがVRAMの大容量化で、Arc Pro B60で24GB、同B50で16GBものGDDR6を搭載している。価格はB60は未定であるものの、B50は299ドルという参考価格が公開されている。

  • Arc Pro B60のスペック概要

  • Arc Pro B50のスペック概要

  • Arc Pro B50/B60のもう少し細かいスペックシート。同じBattlemageでコンシューマ向けのArc Bと比べ、VRAMが大幅に増加している

  • B50については299ドルの参考価格が出ている。NVIDIA RTX A1000を競合と見ているようだ。VRAM容量だけ見るなら、この表で比較しているArc Pro A50は6GB、同Pro A60は12GB、NVIDIA RTX A1000は8GB

ほか、AI導入の複雑さを解消するとして、ドライバはコンシューマおよびプロ仕様(ISV認証)のWindowsドライバと互換性があるほか、Linux上では、コンテナ化されたソフトウェア・スタックをサポートする。今後も、さまざまな機能や最適化により順次アップグレードをしていく計画であることも説明された。

  • 幅広いソフトウェア・ベンダーの認定と最適化されたソフトウェアによる安定性とパフォーマンスの高さをうたう

  • 今後も機能を順次アップグレードするとしており、そのロードマップ

同価格帯では大容量なメモリ、主要ソフトウェアとの互換性など、導入コストの面での優位性は高く、LLM開発の裾野をひろげることが期待される。

  • 従来製品や競合製品とのベンチマーク比較もいくつか示された。特にメモリを使い切るようなパラメータ数の多いLLMではNVIDIAに対し優位となるパターンがあるようだ

一方で、最大8基のマルチGPUが可能という拡張性も用意される。これは、開発コードネーム「Project Battlematrix」として発表されたもの。最大8基のArc Pro B60 24GB GPUをサポートしており、プラットフォームで計192GBのVRAMを搭載した中規模(最大1500億パラメータ)かつ高精度なAIモデルを実現するとのこと。

  • 「Project Battlematrix」プラットフォーム。最大8基のArc Pro B60 24GB GPUで最大192GBのVRAMを実現

製品のリリース時期だが、Arc Pro B60については今年6月にはVGAメーカーらがサンプル提供の開始を予定しており、Arc Pro B50については今年7月から一般販売が開始される予定となっている。おおむね、今年の第3四半期中には何かしらのVGA製品を手にすることができそうだ。

  • Arc Pro B60については来月6月からASRock、GUNNIR、Lanner、MAXSUN、ONIX、Senao、SPARKLEらがサンプル提供を開始する予定

  • 実際のArc Pro B50の動作デモ機。ここではTwinmotionというアプリでレンダリングなど実際のビジュアル処理を様子を紹介している

  • 「Project Battlematrix」のデモ機。1台のワークステーションに4枚のArc Pro B60カードを搭載している。筐体はデスクトップサイズでコンパクトだ

  • 上のワークステーションで使われているASRockのArc Pro B60カード

  • ASRockは、非常にコンパクトなArc Pro B60カードも出展していた。通常版と比べ、動作クロックが少し落とされそうだが詳細はまだ未定