東京大学大学院工学系研究科とNECは3月28日、Beyond 5G価値共創社会連携講座にてBeyond 5G 共同研究技術の社会実装に向けた、新たな実証を開始したことを発表した。

今回の検証は、フィジカル・インテリジェンスのユースケースとして、ロボットが人を先導し重い荷物(買い物・災害時の水など)を持ちながら、各種センサ情報をAIで分析/フィードバックする実証実験となっている。

フィジカル・インテリジェンスとは、エッジの知能化などにより、AI(知能システム)と機械(ロボット、IoT等)が高度に融合することで実現する、AIが物理的動作を行うためのシステム。 これにより、AIの利活用が現実世界(Real World)に拡がり、リアルタイムに高付加価値を還元する。

  • ユースケースのイメージ

    ユースケースのイメージ

取り組みの背景

近年、サイバー世界での人とAIの「寄り添い」が注目されており、東京大学とNECは、物理世界へのフィードバックも含めた「寄り添い」として、フィジカル・インテリジェンスが重要だと考えている。

フィジカル・インテリジェンスは、自然災害の深刻化や人口減少・少子高齢化など、2030年代のさまざまな社会課題の解決に期待されている。AIが物理的な身体機能(ロボットなど)を獲得することで、AIの利活用がデジタル世界だけでなく、これまで不可能であった物理世界へも拡大していくことが予想されているという。

検証の内容

東京大学とNECの技術を組み合わせ、ネットワークの状況を把握し、AIによる映像分析に最適な映像と通信品質の制御を動的に行う「ネットワークfor AI(NW for AI)」の実証試験を開始した。

具体的には、ロボットに搭載したカメラの映像品質を、利用可能なネットワーク帯域と電波強度に応じてリアルタイムに最適化した。

これを踏まえて、AI分析に十分な解像度を維持しながら、ネットワークリソースの効率的な制御を実現した。こうして、必要以上の帯域を使用することなく、AIが映像分析に基づき必要な情報をユーザーに通知する、NW for AIの有効性の検証を進めている。

また、人に寄り添うケースとして、オーナの行動を先回りして見通しの悪いエリアへ移動し、交差点などの危険の察知・通知を行う検証を実施しています。ロボットが交差点での危険性を察知し、オーナおよび周辺への通知を行うことで、人々に安全な生活を提供する。

このユースケースは、子供連れや高齢者といった方々の生活を支援するパートナーとして活用することが可能。