Microsoftは6月4日(現地時間)、「Microsoft launches new European Security Program」において、欧州の政府機関向けに無償でサイバーセキュリティの強化を支援する「European Security Program(ESP)」を発表した。
この取り組みは、AIを活用した脅威への対抗を中心として、欧州全体のサイバー攻撃に対する防御力を強化することを目的としている。
AI活用と国際連携を柱とした支援を無償提供
Microsoftが新たに発表したこのプログラムは、同社の既存の政府セキュリティプログラムを拡張する形で、次の3つの要素を核として構成される。
- 欧州政府とのAIベースの脅威インテリジェンスの共有を強化する
- サイバーセキュリティ能力と回復力の強化に向けた追加投資を行う
- サイバー攻撃を阻止し、サイバー犯罪者が使用するネットワークを解体するためのパートナーシップを拡大する
具体的には、AIによるリアルタイムの脅威分析を各国政府に提供した上で、国家ごとの脅威環境に合わせてカスタマイズした対策を支援する。また、マイクロソフトのデジタル犯罪対策部門(DCU)や脅威分析センター(MTAC)からの情報を通じて、外国勢力による工作や、ディープフェイクを用いた偽情報の拡散を抑え込む対策も強化する。
サイバーセキュリティ基盤強化のための追加投資も
ESPには欧州のサイバーセキュリティ基盤強化のための追加投資も含まれている。例えば、ユーロポールの欧州サイバー犯罪センター(EC3)にMicrosoftのDCUの捜査員を派遣し、情報共有と運用連携を強化する。さらに、非営利団体であるCyberPeace Instituteとのパートナーシップを通じて、NGOや市民社会に対する支援も拡充する。西バルカン地域では、サイバー能力開発センター(WB3C)との連携により、ウクライナをはじめとする地政学的にデリケートで且つデジタルリソースが不足している地域でのサイバーセキュリティの向上を目指す。
Microsoftは、欧州各国と連携してサイバー犯罪ネットワークの解体にも取り組んでいる。ESPではこのパートナーシップを拡大し、サイバー犯罪の根絶と抑止に継続的に取り組んでいくという。
ESPは、欧州連合(EU)加盟国、欧州自由貿易連合 (EFTA) 加盟国、英国、モナコ、バチカンを含むヨーロッパ各国政府に無料で提供される。Microsoftは、欧州のITインフラを守るという確固たる意志をこのプログラムに込めている。