サロンスタッフの業務効率化を目指してオンプレミスからクラウドへ

TBC グループ株式会社は「エステティック TBC」および「MEN’S TBC」を中心としたエステティックサロンを経営する美容系企業だ。2026年3月には創業50周年を迎える同社は、日本のエステティックを黎明期から盛り上げてきたリーディングカンパニーとして知られている。グループに同じく美容総合ブランド「ソシエ」を持ち、ヘア、ネイル、アイビューティーなど各種美容サロンを国内外に展開、グローバルなビューティー企業として発展しつづけている。

「サロンスタッフの接客以外にかかる時間を極力コンパクトにしたい、できるだけお客様にあてる時間にしたい、というのは我々がずっと持っている課題です。2000人超のエステティシャン一人当たりの事務作業を1日5分削れるだけでかなりのボリュームになります。そのための模索をするなか、注目したのがクラウドグループウェアでした」と語るのはTBCグループ株式会社 情報システム部の笠間健彦氏だ。

  • 笠間 健彦 氏

    TBCグループ株式会社 情報システム部 笠間 健彦 氏

個人情報を自社で管理すべきという考えから、業務を支えるシステムはオンプレミス型優先で運用されてきたという。クラウド活用への転換がはかられたのは2013年のことだ。

個人情報を自社で管理すべきという考えから、基幹系システムはオンプレミス型優先で運用しているという。しかし変化が早く選択肢が多い情報系システムのクラウド活用への転換がはかられたのは2013年のことだ。

「世の中的にもクラウドへと変化していた時期で、TBCも潮流に合わせて変化しなければならないと考えクラウドサービス導入の検討をはじめました。オンプレミスとは違い、クラウド型ならば自動的に機能がアップデートされ、常に最新のツールが利用できます。バックオフィスも含めた社員の働き方がより柔軟になるのではないかという期待がありました」と笠間氏は語る。

本社と店舗で異なるメール活用をGmail+サテライトオフィスのシングルサインオンで実現

最初に転換が検討されたのはメールシステムだった。社内に設置されたメールサーバと、各自のPCにインストールされたOutlook Expressのリプレイス先として、Gmailが候補に挙がった。

「汎用性があり、セキュリティも高いGmailが第一候補になりました。さらにセキュリティ強化を狙って採用したのがサテライトオフィスのシングルサインオンです。AD連携機能やプロファイル設定によるポリシー制御によって、本社と店舗それぞれの目的にあったメールシステムが実現できました」と笠間氏。

本社でのメール利用方法は一般的なものだが、店舗側では外部へのメール送受信を行わず、本社と店舗間での連絡に利用を限っている。この制限利用に「サテライトオフィス・シングルサインオン for Google Workspace」が利用された。

「サロンスタッフの業務では、Google Workspaceを一人1アカウント持つ必要はなく、店舗ごとに1つのアカウントを用意しています。各スタッフがお客様とメール等のコミュニケーションツールで直接やりとりするのはトラブルの恐れもあるので、予約やご相談はそれぞれ専門部署で対応しています。そのために適切なメールの利用制限が必要でした」。

説明会ナシでもスムーズに使えるわかりやすさがGoogle Workspaceの魅力

メール改革が最初の目的だったが、現在はGoogle Workspaceが持つ多くの機能が活用されており、業務改革が実現されている。

「Googleカレンダーでの予定共有ができるようになりミーティングの予定作成が便利になりましたし、Googleスプレッドシート等での共同編集機能はサロンとの連携や業務効率を大きく向上させています。また、Googleフォームを使って簡易なフォームが手軽に作れるようになり、非常に便利で使う前には戻れません。コロナ禍には対面ミーティングをGoogle Meetに切り替えたことで問題なくサロンとコミュニケーションもとれました。サロンと本社の連絡ツールとしてGmailだけでなくGoogleチャットも利用しています」と笠間氏。

従来は新しい仕組みができた場合には全国各エリアの拠点支店に店舗責任者を集めてレクチャーしていたが、Google Workspaceに関してはあえて行っていないという。

「あらためて説明会を開く必要もないくらいわかりやすいUIなので、触ったらわかる、触って慣れてもらえばいいという考えで、Gemini for Google Workspaceが全ユーザー対象になりましたが、特に社内へ案内は出していません。触ればわかるUIになっているし、解説書はインターネットに無数に存在しているので問題ありません。サロンスタッフは若い人も多く、特に柔軟ですね。Google Workspace導入時には従来システムとの使い分けに課題が出るかもしれないと考えていましが、実際にはスムーズでした。意外な使い方をこちらが教えてもらうこともあるくらいで、非常に上手く利用してくれています」と導入の手応えを語る。

セキュリティ強化や現場の利便性向上にサテライトオフィスのアドオンを活用

サテライトオフィスのアドオンでは、「サテライトオフィス・シングルサインオン for Google Workspace」のほかに「サテライトオフィス・大容量ファイル転送 for Google Workspace」が採用されている。

「シングルサインオンはMicrosoft 365の認証にも利用しており、認証が一括管理できるのが便利だと感じています。大容量ファイル転送はEmotetが問題になった時に添付ファイルの扱いを見直し、追加しました。それまでは大容量になる場合は外部のファイル共有ツールを各自が利用していたのですが、既にサテライトオフィスアドオンの利用経験があり、セキュリティの信頼性があったので、即導入できたのはよかったですね。共有などが便利だからこそセキュリティ面は慎重に考慮し、必要に応じた機能開放をしています。シングルサインオンでルール設定をすればユーザーごとにアクセス制御ができるので、管理でも助かっています。全体的に、すでになくてはならないツールになっています」と評価。

さらに導入時には「サテライトオフィス・ポータルサイト」を利用し、店舗PCで利用するための起動画面に設定する工夫も行われた。

「ポータルには発注のためのリンクや基幹システムへのリンク、予約システムへのリンクなど、ワンクリックで業務に利用する画面へたどり着けるためのリンク集のようなつくりになっています。店舗PC起動時にAD連携で認証して自動的に起動させる仕組みを作りました。基本的に店舗側で必要となる業務はここで完結できるようになっています」と笠間氏。スムーズな導入には、こうした工夫も大きく貢献しているようだ。

AIや便利なアドオンを積極利用してサロンの業務効率化をさらに推進

今後の予定としては生成AIの活用が直近の目標として掲げられている。

「AI活用は今後切っても切り離せないものになるでしょう。今のうちに理解し、使って行く方がいい。サロンスタッフの時間効率をさらに上げることに利用したいですね。Gemini for Google Workspaceは、入力した情報がモデル改善に使用されることはないので、社内の誰でも利用できるようにしていますが、AIの業務活用についてはサテライトオフィス社にもアドバイスをいただきながら推進したいと考えています」

サテライトオフィスのアドオン活用についても積極的で、多彩なアドオン群の中から自社の需要にマッチしたものを探したいと考えているようだ。最近も「サテライトオフィス・拡張フォーム&アンケート for Google Workspace」を見つけ、利用しはじめたという。

「社内からこんなことができないかと要望が出れば、まずサテライトオフィスのアドオン群から探しています。最近は議事録AIなど使いやすいAI領域も拡充されているので、随時取り入れたいですね。最近も拡張フォーム&アンケートの存在を知って、Googleアカウントへのログインなしで写真など添付ファイルを送ってもらえるので一般モニター募集などにも活用したいと思っています」と笠間氏は語る。

Google Workspaceの活用は着実に進み業務効率化の効果も出ているが、業務の中核ツールとして従来の各種ツールが必ずしも統廃合されたわけではない。現在も店舗から本社への連絡では一部FAXや社内便が使われているし、従来資産の活用やスムーズな業務のためにMicrosoft 365も契約しているという。また、勤怠管理や従来から利用している掲示板システムも残っている。

「機能的に重複している部分は多いですし、アナログすぎるように見えるかもしれませんが、必要に応じて使い分ける、サロンスタッフ全体の業務効率が下がることになるなら無理に統合する必要はないと考えています。デジタルな苦手な人に数時間かけてテキスト文章を書かせるより短縮ボタンでFAXを送って接客業務に専念してもらう方がいいわけです。こういう割り切った導入も一つのやり方です」と笠間氏は自社の状況に合わせた導入と活用について語った。

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